株式会社第一リフォーム

COLUMN
大規模修繕コラム
NEWS

【現場レポ】透明塗膜防水S-T工法(セブンS)【防水工事・斜壁タイル】

現場レポート

【現場レポ】透明塗膜防水S-T工法(セブンS)【防水工事・斜壁タイル】

こんにちは😄
今回は東京都板橋区の外壁改修工事で実施した、斜壁タイル面への透明塗膜防水(クリア防水)を施工する様子を現場レポートとしてお届けしたいと思います。

斜壁とは

写真のように建物の上部などが斜めに仕上げられている部分を斜壁(しゃへき)と呼びます。




建物に斜壁が設置される理由

建物を建てる際、採光や通風などを確保することを目的に「斜線制限」というルール沿って建物の高さや形状を設計しなければなりません。
こうしたルールの中で、マンションやビルなどの建築容積を最大限に確保するために斜壁が設計されることが多くあります。



「斜壁」は「垂直壁」に比べて劣化が進みやすい

斜壁は文字通り、壁が斜めに設置されています。

垂直壁と比べると、紫外線にさらされやすくタイル目地の劣化が進行しやすいといわれています。
また、垂直壁に比べて雨水も滞留しやすく、劣化した目地から水が侵入し、タイルが浮きに繋がりやすい箇所です。






斜壁の劣化を放置すると大きなトラブルになるケースも

斜壁の劣化を放置したままにすると、斜壁から漏水が発生したり、タイルが剥がれ落ちるといったトラブルにもつながります。

最悪の場合、剥落したタイルが通行人にあたりケガをさせてしまうこともありえます。
劣化がしやすい箇所だからこそ、斜壁には適切な改修工事が求められます。


◎斜壁が劣化してまっている建物のイメージ




「斜壁」の主な改修方法

斜壁タイルの改修方法は、主に「塗膜防水」「屋根防水」の2つに分けることができます。

1.塗膜防水タイプ

斜壁タイルの上に透明の防水材を塗り重ねてタイル表面に防水層を形成する改修方法。

透明(クリア)の防水材を使用するため、タイルの見た目を活かして仕上げることができます。
代表的な透明(クリア)塗膜防水材に、セブンケミカルの「セブンS」、東亜合成の「クリアウオール」などがあります。


透明塗膜防水(クリア防水)のイメージ

※写真は外壁タイルにセブンSを施工している様子です。

2.屋根防水タイプ

既存の斜壁タイルの上に防水シートなどで防水層を新設し、その上に屋根材を設置する改修方法。
屋根材にはアスファルトシングル葺や鋼板屋根等を使用します。
斜壁タイルだった箇所を屋根防水タイプで改修をした場合、既存と見た目が大きく変わります。


アスファルトシングル葺のイメージ



鋼板葺きのイメージ

※写真は鋼板屋根の様子です。

「撥水材」には要注意

まれなことではありますが、専門知識のない業者が斜壁の改修に撥水材(はっすいざい)を提案してくることがあります。
撥水材(はっすいざい)に防水効果はありません。誤った方法をで改修を行わないよう十分に注意しましょう。


なお、今回の改修工事では、既存の斜壁タイルに塗膜防水の「セブンS」が施工されておりましたので、既存と同様の「セブンS」で改修を行いました。



透明塗膜防水材 「セブンS」とは

「セブンS」とはセブンケミカルから販売されている、外壁タイル面に使用する透明塗膜防水材のこと。

画像元:セブンケミカル セブンSS・セブンS カタログより

ベースは特殊アクリルエマルション樹脂。耐久性、防水性に優れ、下地追従性も高く、ひび割れによる漏水を防ぐことができます。



セブンS(S-T工法)の施工の流れ

セブンSのS-T工法では、下塗り(1回)→中塗り(3回)→上塗り(2回)の3層6工程で実施します。
(既存の建物がS造の場合は3層6工程、RC造の場合は3層5工程で施工。)

①施工前

既存に施工されたセブンSが劣化により剥離し、汚れも目立つ状態でした。
(既存写真は足場がない状態で撮影をしているため、屋上から下に向かって斜壁部を撮影しています)



足場設置後に剥離剤を使い、既存の「セブンS」を剥離した状態から施工をしていきます。
写真は既存の透明塗膜防水材の剥離後の状態です。


①下塗り

下塗りは「セブンSシーラー」を塗布します。
「セブンSシーラー」は基材と硬化剤を混ぜて使用するタイプ。



少し黄身がかった透明の液体で、サラっとしたテクスチャ。



ウールローラーを使ってシーラーを塗布していきます。



サラっとした材料のため、素早く手を動かして塗り広げます。



あっという間に、斜壁の上部分が塗り終わりました。



この後も、斜壁全面にシーラーを塗布していきます。



次工程まで3時間あけます。

②中塗り・1回目

中塗りは「セブンS」を塗布します。
下塗り材に比べると粘度も高く、色は乳白色をしています。



セブンSの塗布には砂骨ローラー(多孔質のスポンジ状のローラーで塗膜の厚みをつけやすい)を使用します。
砂骨ローラーはマスチックローラーと呼ばれることもあります。
黄色が粗目、緑色が細目。中塗り1回目は緑色の細目ローラーを使います。



細目の砂骨ローラーで中塗り材の「セブンS」を塗布していきます。
「セブンS」は乳白色ですが、緑色のタイルの上に塗布しているため、写真ではやや青みがかった色に見えます。



1回目の中塗りが完了した様子。
塗布面の色がまばらに見えていますが、材料が完全に乾くと、全て透明色になります。

※塗材の厚みが付いている部分は、乾くのに時間がかかるため、このような色むらがあるように見えます。

次工程まで4時間以上あけます。

③中塗り・2回目

さらに、セブンSを塗り重ねていきます。
中塗り2回目は粗目の砂骨ローラーを使用します。



中塗り2回目が完了した様子。

次工程まで4時間以上空けます。

④中塗り・3回目

中塗り3回目が塗布された状態。
タイル表面に塗布された防水材が塗膜となり、厚みが感じられるようになってきました。



中塗り3回目が完了した様子。塗膜の厚み感が更に増しました。

次工程まで、16時間以上あけます。

⑤上塗り・1回目

上塗りには「セブンSトップM#30」を使用します。
仕上がりの光沢に艶有・半艶・艶消の種類があり、今回の改修工事では半艶タイプ(推奨)を使用しています。

上塗り材は基材と硬化剤を混ぜて使用するタイプ。



上塗り1回目を施工した様子。上塗りは再びウールローラーを使用して施工します。



上塗り1回目の施工が完了した様子。

2時間以上空けます。

⑥上塗り・2回目

上塗り2回目を施工します。



上塗り2回目の施工が終わり、3層6工程が全て完了しました!

※セブンS施工後にシーリングの打ち替えを行います。



BEFORE・AFTER

最後にBEFORE・AFTERを比較してみましょう。



透明の塗膜なので遠目だと少し分かりづらいですが、近くで見ると斜壁タイルの表面に塗膜防水材(セブンS)が塗布されたことが分かります。


 
透明塗膜防水材「セブンS」を塗布したことで、斜壁に防水機能を付加しつつ、タイルの意匠性を活かした仕上がりにすることができました。


以上

斜壁タイルの防水工事『透明塗膜防水 S-T工法(セブンS)』の現場レポをお届けいたしました。


既存建物の外観を活かしながら防水機能を付加したいといった場合には、ぜひ透明塗膜防水をご検討ください。

また、今回は塗膜防水タイプの改修をご紹介しましたが、施主様のご要望や既存建物の状態に合わせ、様々な改修方法のご提案が可能です。

斜壁の修繕・改修で悩んでいるという方はぜひ気軽にお問い合わせください。

最後までご覧いただきありがとうございました🙇‍♀️


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「他の事例も見てみたい」、「大規模修繕に関する基礎知識をもっと知りたい」、「実際どのぐらいの費用がかかるのか知りたい」という方は、こちらのページもぜひ参考にしてみて下さいね💻✨

▶その他の大規模修繕工事の施工事例

▶建築用語基礎知識

▶マンション・ビルの大規模修繕の見積り・シミュレーション

▶第一リフォームの特徴

ページトップへ