【現場レポ】笠木の取り外し【スタンション足場】
こんにちは😄
先日、現場代理人の方より「屋上の笠木を取り外す様子を撮影したよー」と写真を送っていただきました📷✨
「笠木」は大規模修繕の防水工事の重要なポイントにもなります。
今回は撮影してもらった写真と合わせて、笠木の役割など基礎知識と一緒にご紹介をしていきたいと思います。
笠木とは
笠木とは、雨仕舞(あまじまい)のための設置される仕上げ材のこと。
雨仕舞というのは建物に雨水が侵入しないように雨水を上から下へ流れるようにするための対策や工夫をいいますす。
笠木の設置場所は、建物の手すり壁の上部、屋上のパラペット上部、バルコニー腰壁の上部などで、雨水にさらされやすい部分によく取り付けられています。
材質は「アルミ」や「ステンレス」といった金属製のものから、陶器や石材でできたものなど、様々な種類が存在します。
笠木には一体どんな役割がある?
笠木は雨水にさらされやすい箇所に取り付けることで、雨水の侵入を防ぎ、壁や躯体を保護する役割を持ちますが、その他にも建物の汚れを防止する効果もあります。
笠木あり・なしで、建物にどんな影響があるのか詳しく解説していきます。
笠木なし
笠木がない状態では、パラペットや壁の頂部に直接雨があたるため、劣化した塗装や防水層の隙間から雨水が躯体へ侵入してしまう恐れがあります。
また、雨水が壁面をつたって流れるため、壁面に雨垂れによる汚れが付着しやすくなります。
笠木がないことで、躯体への浸水リスクが高まったり、雨だれ汚れが建物の美観を損ねる要因になります。
笠木あり
パラペットや手摺壁の頂部に笠木を設置することで、天端に直接雨があたらず、頂部を保護し、雨水の侵入を防ぐことができます。
また、雨水は笠木から流れ落ちるため、外壁に雨垂れ汚れが付着しずらく、建物の美観を保つことができます。
笠木を設置することが機能的(雨水の侵入を防ぐ)にも、美観的(雨だれ汚れがつきにくい)にもメリットがあるということが分かります。
笠木の耐久性は? 劣化するの?
素材や種類にもよりますが、一般的なアルミ笠木の場合はおおよそ10年~20年以上の耐久性があると言われます。
「かなり長く使える」という認識は決して間違いではありませんが、20年間まったくメンテナンスしないで大丈夫という訳ではありませんので注意が必要です。
例えば、笠木と笠木の継ぎ目の隙間を埋めるシーリング部分は一般的に5年~10年で劣化していきます。(劣化する期間は紫外線や雨風の当たりやすさによっても異なります)
シーリングの他にも、笠木を固定するネジ穴の周辺が錆びてしまったり、台風などで笠木自体が変型してしまったりする場合もあります。
大規模修繕工事の際には、笠木がどのような状態か(笠木にゆがみなどの変形や破損はないか)、どのような劣化か(錆はないか、シーリングの劣化はないか)を確認し適切な補修を行う必要があります。
アルミ笠木の取り外し方
この現場ではパラペットに直接足場を設置するため、屋上バルコニーのアルミ笠木を取り外す必要がありました。
今回は、普段なかなか見ることがないアルミ笠木の取り外しシーンを、撮影してもらった写真と共に紹介していきたいと思います📷✨
①取り外すのはパラペット上部のアルミ笠木
屋上のパラペットに設置されているアルミ笠木をすべて外していきます。
②笠木のつめを外す
アルミ笠木にはこのようなL字のつめが付いています。(笠木の種類によってはかえしが付いている場合もあります)
この笠木は内側と外側、両方に同じ形状のつめがついています。
このつめを固定金具にひっかけることで笠木はパラペットに固定されています。
笠木を取り外せるように、まず初めに笠木のつめを取り外します。
③笠木を取り外す
外す場合は、内側または外側のつめを固定金具から外した状態で、持ちあげながら笠木を取り外していきます。
笠木は長さも重量もあるため、取り外し作業をする時は必ず複数人で作業をするようにしましょう。
作業を繰り返し、すべての笠木を取り外しました。
笠木に使用される金具について
固定金具・げた
パラペットの上に付いている金具を「固定金具」といいます。「げた」と呼ばれる場合もあります。
固定金具はパラペットに一定間隔で設置されており、固定金具に笠木のつめをひっかけることで、笠木をパラペットへ固定しています。
ジョイント金具
笠木と笠木の継ぎ目には「ジョイント金具」という金具が設置されています。
ジョイント金具には溝が付いており、継ぎ目部分から侵入してきた雨水がパラペットにあたらず、下に流れていくようにする役割を持っています。
笠木を取り外す時の注意点
建物が鉄骨造(S造)の場合、パラペットの中が空洞になっていることがあります。
笠木を外す時に雨水など入らないよう注意が必要です。
パラペットに足場を設置する時の注意点
建物の周りに足場を立てられない場合、建物に直接足場を設置することがあります。
そうした時は「スタンション足場(ガードフェイス)」と呼ばれる方法で、パラペットを直接で挟んで足場を固定します。
笠木を取り外す時の注意点にもあったように、建物が鉄骨造(S造)の場合、パラペットの中央が空洞になっていることがあります。
この状態でスタンション足場を設置すると外側からの圧力でパラペット内のボードが破損することがあります。
パラペットに足場を設置する場合は、壁の中のがどのような構造になっているか確認が必要です。
実際のパラペットにスタンション足場が設置された様子。
足場設置に問題がないことを確認し無事にスタンション足場が設置できました。
以上、笠木の役割や取り外し方、スタンション足場設置時の注意点などをご紹介させていただきました。
最後までご覧いただきありがとうございました🙇♀️
コチラもあわせてご覧ください
「他の事例も見てみたい」、「大規模修繕に関する基礎知識をもっと知りたい」、「実際どのぐらいの費用がかかるのか知りたい」という方は、こちらのページもぜひ参考にしてみて下さいね💻✨